・リビング

ソファに座ってテレビを見ている真(まこと)
野菜ジュースの入ったコップを持って隣に座る直(なお)

真  「あー、俺も俺も」
直  「全部飲むなよ」
真  「飲まねぇよ」

コップを受け取り全部飲み干す真

直  「あっ!おい!飲むなって言ったじゃん!」
真  「はははっ。ごめんごめん」
直  「ったく、自分で入れろよなぁ……」

また入れなおしに行く直

真  「っつーかまじぃ…これ。トマト入ってるやつじゃん」
直  「全部飲み干しといて文句言うなよ馬鹿」

飲みながら戻ってきて隣に座る

直  「そうだ、お前今日どこ行ってたんだよ?一時間も待たせやがって」
真  「あぁ、なんか付き合ってって言われたんだ」
直  「はっ?マジで?誰に?」
真  「バイトの子。一個下の」
直  「へぇ…。で、返事は?」
真  「さぁ?まだわかんない。考えさせてって言っといた」

真、直の唇を触る

直  「っ……。付き合うの?」
真  「どうかな…可愛い子だし…」

キスをする真

直  「そう……ぁっ…」

服の中に手を入れる

直  「ゃぁっ……」
真  「やじゃない」

真、笑う

直M 「こいつは嘘つきだ。
    真だなんて名前なのに、どれが本当なのかも分からない。
    だから俺はこいつが好きだと言ってもきっと信じない」

真  「お前の口の中、トマトの味がする……」

舌を出して苦い顔をする真を見て
キスをする直

直M 「一度もそんなこと言われたことないけど」

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・食堂

二人、向かい合って食事をしているところに
友達Aが来て真の隣に座る

友達A「あ〜!真眼鏡じゃん!何、伊達?どこで買ったの〜?」
真  「いいでしょ、コレ。どこで買ったかはひみつ〜」
直  (それは俺の眼鏡だ……)
友達A「え〜、いいなぁいいなぁ。かけさせて」

眼鏡に手を伸ばす友達A

真  「だーめ。これは俺しかかけちゃいけないのー」
友達A「え〜?なに、彼女にでも買ってもらったの?つまんな〜い」
真  「ふふっ」
直  (否定しろよ……)
友達A「ねぇ、飲みに行くって話、いつ行ってくれるのぉ?」

真に腕を絡める友達A

真  「あぁ、いつでもいいよ。あ〜でも彼女が怒っちゃうかもなぁ」
友達A「なぁにそれー。真彼女ホントに出来たの?あたしはぁ?」
真  「また今度ね。絶対行くからさっ」
友達A「絶対だよ?じゃぁまたね〜」

去っていく

直  「返せ」

眼鏡を取る直

真  「あぁ!ちょっと待って!今日はこれかけてないとダメなんだって!」
直  「何がだよ。誰に買ってもらったって?」
真  「いいじゃん別にぃ。っつか、今日はこれがポイントなの」

取り返してまたかける真

直  「……」
真  「妬いた?」
直  「誰が!誰に!」

直、トレイを持って立ち上がる

真  「え!ちょっと待ってよ!お前食うの早すぎ!」

去っていく直

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・廊下

向こう側の校舎の廊下を女に囲まれながら歩いている真を見つける

直M 「あいつとこんな関係になったのは、高校のときだった。
    同じ大学に受かって、飲みに行って、酔った勢いで」

笑っている真

直M 「覚えているのはあいつの手の感触と、唇の柔らかさ、
    それに熱い体温。それだけ。
    それだけで、ここまできた」

真と目が合うが逸らす直

直M 「嘘しか出てこない、あの軽い口から望む言葉が出てくるなんて
    思わない。期待なんかしない。絶対しない。してやるもんか」

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・図書室

眼鏡をかけて本を選んでいる直
真が来る

真  「こんなとこにいたー。携帯ずっと鳴らしてたんだぞ」

本棚に寄りかかる真

直  「あぁ、気づかなかった。っつかお前声でかい。静かに話せ」
真  「ちぇー。まぁいいんだけどさ」

直、真を見上げる

真  「なに?眼鏡の俺様に見惚れちゃった?あ、こうしたらさ」

本棚から本を取り出して読む振りをする真

真  「すっごい知的に見えない?」
直  「馬鹿じゃねぇの」

直、笑う

真  「何でよ。かっこいいでしょ?俺」
直  「よくねぇよ」
真  「嘘だね。じゃあなんで見てたの?」
直  「お前背そんなにでかかったかなぁと思ってさ。今何センチ?」

直、本を探しながら歩く
その後ろを追いかける真

真  「どうだろ?185くらいあるかなー」
直  「ホントに?でかいな」
真  「直は小さいもんなー」
直  「うるせぇ」

直、振り返って腹を殴る

真  「っぐ!…何も殴んなくても…でもさ」

耳元で囁く真

真  「身長差あってもちゃんとできるもんな」
直  「っ!……アホか!死ね!」

直、早足で去っていく

真  「ちょっと待ってって!」
直  「なんだよもう、何の用で来たんだよ」
真  「何の用って一緒に帰ろうと思って」

直、立ち止まる

直  「あーそうだったの?ごめん、今日無理」
真  「えー?なんで?」
直  「勉強教える約束」

直、視線を机の方に向ける
視線の先で頭を下げる女の子

真  「へぇ。そ。分かった。じゃな」

真、そのまま去っていく

直  「?」
直  (なんだ?急ぎの用事でもあったのか?)

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・図書室

隣に座って勉強をしている直と藤森(ふじもり)

藤森 「高月(たかつき)くんって大瀬(おおせ)くんと仲いいよね」
直  「え?あぁ、高校一緒だったから」
藤森 「そうなんだ……」
直  「……あぁ。ここ、俺より真の方が得意だから、今度真に頼もうか」
藤森 「え!?あ、あの、そういうつもりで言ったんじゃないんだよ?」
直  「そう」
藤森 「あの…でも、もしよかったら……」

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・アパート前

階段の上に座っている真

直  「なに、いつからいんの」
真  「メール入れたのに」
直  「え?あぁ、ごめん。見てない」

階段を上がる直

真  「こんな時間まで勉強してたのかよ」

直が横を通ると同時に立ち上がり付いて行く真
鍵を開ける直

直  「いや、飯食ってきた。お前は?食ったの?」
真  「食ったよ」

真、拗ねながら中に入る

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・玄関〜リビング

家に入ってくる二人

真  「あの子と仲いいの?」
直  「あぁ、藤森さん?同じ授業取ってんの」
真  「可愛いじゃん。よかったな」
直  「はぁ?何が」
真  「彼女、できんじゃねぇの?おめでとう」
直  「可愛いと思ってんならお前が付き合えよ。あの子お前のこと気になってるんだってさ。
    今度勉強お前に頼んであげるって言っといたし、いい機会じゃん」

直、鞄を置いてコートを脱ぐ

真  「何それ」
直  「なにって」
真  「俺に女紹介してやるって?何だよそれ」
直  「まこ──っ!」

直、床に押し倒される

直  「真?何怒ってんの……」
真  「怒ってねぇよ」
直  「怒ってんじゃっ──ちょっと!」

真、直の服を捲り上げる

真  「黙ってろ」

裾を口の中に押し込む真

直  「ふっ……んぅ!」

胸に舌を這わす

直  「っん……むぅ…」

直M 「何怒ってんだよ……わけわかんねぇ。
    女なんかいっぱいいるくせに」

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・リビング

上半身裸のままソファに座って煙草を吸っている真

直  (背中が痛い……)

直、よろよろ立ち上がって風呂場に行く

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・風呂場

シャワーを浴びる直

直  「っぅ……」
直  (くそっ……いてぇ……)

扉が閉まる音がする

直  「?」
直  (真…?)

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・リビング

真の服と鞄が無い

直  (帰ったのかよ……あのやり逃げ野郎…)

直、ため息をついてソファに座る

直M 「そんなに俺に女紹介されんのが屈辱的なのか。
    俺に彼女なんか出来るわけねぇんだけどな。
    先におめでとうとか言いやがったくせに…
    何考えてんだよ」

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・食堂

二つ向かいのテーブルで女の子と食事をしている真
直、一人で食べている

直M 「あれから真は近寄ってこなくなった。
    それほど嫌だったのか、それとも俺に飽きたのか。
    そんな気はしてた」

真と目が合うが、逸らされる
直、トレイを持って立ち上がる

直M 「好きだと言わずにあんなことやってたのがおかしかったんだ。
    いつかこうなることは分かってた」

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・学校

廊下ですれ違う二人

直M 「あぁなる前は、どうやって過ごしていたんだろう」

遠くで友達と話している真

直M 「時間はそれほど経っていないのに、友達≠セった頃のことが思い出せない」

笑っている真

直M 「こんなにあいつがいないことが寂しくて、あの手に触れたいと思ってなんかいなかった」

真の後ろ姿を見る

直M 「こんなにも寂しいだなんて、絶対思ってなかった」

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・図書室

中に入ると、藤森と真がキスをしている

直  「……」
藤森 「高月くん……あ、あの……」

直、二人に近づきノートを渡す

直  「これ、良かったら使って」
藤森 「あ、ありがとう…」
直  「よかったね」

直、微笑むとそのまま出て行く

真  「……」

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・廊下

一人で歩いている直

真  「直!」

真、追いかけてきて直の肩を掴む

直  「……」
真  「よかったねって何」
直  「……」
真  「なぁ」
直  「……」
真  「なんとか言えよ!」

無理やり向かせる
泣いている直

直  「っ!」

顔を背ける

真  「直──」
直  「うるさい!何だよ。さっさと戻れよ。なんで追いかけてくるんだよ!」
真  「なんでって、お前勘違いしてんだろ」
直  「何が勘違いだよ。もうほっとけよ。俺のことなんかもうどうでもいいんだろ!」
真  「どうでもなんか」
直  「あぁ…違うか……最初からだよな。別にそういうんじゃなかったもんな」
真  「どういうことだよそれ……」
直  「どういうことって。別に好きとか、そういうんじゃなかっただろ」
真  「え……」
直  「好きだったのは……俺だけだった……」

直、涙を流す

真  「直」
直  「早く戻れよ。藤森さん、待ってるだろ」

直、泣きながら笑う

真  「話聞けって!」
直  「っ!」
真  「やっと……言ってくれた……」

真、直に抱きかかる

直  「な……?」
真  「お前一度も言ってくれないんだもん…」
直  「な、なにが」
真  「好きって。俺あんなに言ったのに」
直  「ちょっと待てよ!」

直、無理やり離れる

直  「誰が言ってたって!?」
真  「俺が」
直  「いつ!?」
真  「初めてやった時」
直  「え……?」
真  「好きだって言ったじゃん。愛してるとも言った」
直  「……嘘だ」
真  「嘘?なんで嘘なんか」
直  「俺そんなの知らない」
真  「マジで言ってんの?」
直  「うん」
真  「ホントに!?」
直  「うん」
真  「はぁ〜……」

また抱きかかる

直  「っつーか!俺お前の言うことなんか信じねぇからな!」
真  「何で!」
直  「お前嘘ばっかりついてんじゃねぇか!」
真  「あれは!」
直  「それにさっき藤森さんと……」
真  「ちょっと待てって、あれ俺がしたんじゃねぇよ。されたの」
直  「……嘘だ」
真  「ほんとだって」
直  「絶対信じない。嘘だ。そんなの、ありえない」
真  「お前さー、さっき言ってたのってなんなの?俺のこと好きなんじゃないの?」
直  「……」

真、鼻でため息をつく

真  「どうしたら信じてくれる?何したらいい?」
直  「何しても信じない……。避けてたじゃねぇか俺のこと」
真  「あれは俺の作戦で、押してだめなら引いてみろって」
直  「え……」
真  「そしたら直、平気な顔してんだもんな。さすがにこたえたね」
直  「う、うそだ……お前こそ平気な顔してた」
真  「平気な顔しなきゃ作戦失敗だろうが。失敗してるけど。
    っつーか。お前がそんなに俺のこと信じてくれてないことにびっくりだわ。
    俺がこういう性格なの知ってんだろ」
直  「だってお前俺に彼女できんじゃねぇのとか言ってたじゃん」
真  「〜〜〜〜〜〜っ!おまえなぁ!それくらい分かれよ!」
直  「わかんねぇよ!」
真  「妬いたからに決まってんだろうが!言わせんな!」
直  「妬いた……?俺に…?」
真  「他の誰に妬くんだよ」
直  「じゃああの時怒ってたのも……?」
真  「お前……そんなに鈍かったの?」
直  「お前が分かりにくいんだろ!そもそも最初から好きだって言ってくれれば!」
真  「だから言ったって!」
直  「俺覚えてないもん!あの時ベロベロだったんだぞ!?お前覚えてんのかよ!」
真  「覚えてるよ」

真、直を抱きしめる

真  「ずっと好きだった奴に触れたんだぞ。酔いなんか吹っ飛ぶっつーの」
直  「なっ…!」
真  「お願い。信じろよ。俺、お前のことずっと好きだったんだよ。
    好きでもねぇ奴にあんなことしないって」
直  「………」
真  「あとどれくらい言えばいい?どうすれば信じてくれる?」
直  「さぁ……」
真  「直」

キスをする真

直  「っ……ん…だめだって……誰か来る…」
真  「信じてくれるまでやめない…」
直  「んぅ……真……」
真  「信じた?」
直  「信じない」

直、笑う

真  「じゃ、やめない……」
直  「うん……」

キスしながら笑いあう二人

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・リビング

ソファに座っている二人

直  「でもさ、お前告白されて、付き合うかもとか言ってたじゃん。あれは?」
真  「まだ言ってんの……?」
直  「だって…」
真  「あぁ言えばお前がヤダって思ってくれると思って言ってるに決まってんじゃん」
直  「……」
真  「何、今更照れてんの?」
直  「別に!」
真  「で、お前やったことしか覚えてないわけ?」
直  「うん……」
真  「はぁ……すっげぇ空しい…」
直  「あ、でも覚えてるよ」
真  「何を」
直  「真の口って柔らかいんだなぁとか」

直、キスをする

真  「っ!くそ……もう何でもいい…」

押し倒す

直  「真!」
真  「お前が可愛いこと言うからだ」
直  「でもホントだよ」

唇に触れる直

真  「……」
直  「?」
真  「お前、それは誘ってるの?」
直  「いや、別に……」
真  「あ〜〜〜もう!好き!」
直  「うわぁ!」

キスする二人








おわり